ブランディングとマーケティングって何がどう違うの?

ブランディングとマーケティングって何がどう違うの?
2020年11月18日 sofu

こんにちは。創風塾です。

今回のコラムは、創風塾で学び、創造していくメインテーマ
「ブランディングとマーケティング」について、
創風塾塾長の江上鳴風がお伝えします。

それでは、早速。

 

ブランディングは、このところの企業活動では
どの企業にとっても必須のものになってきましたが、
「ブランド」という概念が一般的になってきたのは19世紀末です。

せいぜい100年ちょっとの歴史しかないわけです。

海外との交易や、ビジネス自体は
大昔からあったわけですから
意外に最近と思わないわけでもありません。

 

なぜ、100年程度かというと
近代になって初めて大量の同じような品質のもの、
同じような製品が市場に出回るようになり、
その違いを訴求する必要が生じたからです。

 

商売~ビジネスの歴史を見ると、
すべての市場で、まず「売る」ところからスタートし、
そして徐々に「違い」を訴えなければ
売れなくなってくる歴史をたどります。

 

まず、すべては「マーケティング」が先なのです。
「売れなければ何も始まらない」。

 

日本の市場を見ても1970年代までは
ほぼ「つくれば売れる」状態だったので、
ブランディングを行っている企業は
熾烈な競争状態にある業種を除けばそうはありませんでした。

たとえば・・・
車、AV(オーディオ・ビジュアル)、ビールなどの飲料、家電・・。

しかし、市場が成熟するにつれ、
「良くても売れない」「つくっても在庫の山」が
特に1990年代後半から激しくなってきました。

そのあたりからでしょうか。
ブランディングの必要性が叫ばれるようになったのは。
性能、機能での差別化が天井に突き当たり始めたのです。

 

マーケティングがなかなか機能しなくなる。
いくら違いを訴えてもユーザーにとっては
「機能の微差」どんぐりの背比べの話になるわけです。
こうなると、ブランディングが重要になります。

 

いま、私たちは気軽にマーケティング、ブランディング
ということばを使い分けますが
どこがどう違うのか説明できるでしょうか。

 

ことばが違うということは、
明らかに違う概念、違う仕組みなのです。

この違いを明確にして活動していくと、
マーケティング、ブランディングの
リソースの使い方が上手くなります。

なので簡単に解説します。

 

まず、マーケティングは先ほども言ったように
売れることにフォーカスした企業活動です。

簡単に言えば、
マーケティングは【売れる仕組みづくり】です。

一般の人を見込み客にし、
見込み客を顧客にする仕組みなのです。

 

何度も言いますがビジネスの現場では
「売れなければ何も始まらない」からです。

ただ、往々にしてマーケティング主体の企業は
延々とマーケティングをし続けることになりがちです。

 

マーケティングは悪く言えば、
飲んで元気になる「エナジードリンク、精力剤」のようなものです。
頼り過ぎると、飲み続けなければ倒れてしまう錯覚に支配されます。
カンフル剤としての機能です。

ブランディングは、そのカンフル剤と併用もできる
「漢方薬」だと言えば分かりやすいでしょうか。

いわばお客様にじっくりと好かれ、贔屓にされる、
ビジネス体質をつくるための仕組みです。

 

つまり・・・
マーケティングが【売れるための仕組みづくり】だとしたら
ブランディングは【愛されるための仕組みづくり】なのです。

 

マーケティングが
「一般の人を見込み客にし、見込み客を顧客にする」
としたら、ブランディングは、
「顧客をファンに、ファンを信者にする」のです。

だから、めったにありませんが、
最高度に上手く行ったブランディングは
広告費、マーケティング費用が不要になります。

100年以上続く老舗を
思い浮かべてもらうといいかもしれません。

 

私は、銀座に一店舗だけで営業する
「空也のもなか」が思い浮かびます。

それこそ、何も変わらず、何も変えず。
広告も銀座のタウン誌「銀座100店」で見かけるくらいですが
東京のお持たせの上位に来るのが、この「空也のもなか」。
夏目漱石が「吾輩は猫である」に書いた老舗です。

私ならば、もし、お土産で
「空也のもなか」をもらったら
自分が大事にされている、と思うことでしょう。

なぜなら、その素朴な、少し昔風の味とともに
空也が抱えるブランディング要素、
ものづくりする背景や、哲学、思想、
こだわりや人柄を感じて、味わうことができるかです。

 

市場は飽和していることが、ふつうの状態になっています。
まったく新しいカテゴリーが出てきても、
柳の下に10匹くらいのどじょうがすぐに出てきます。
真似られる前提で私たちはビジネスを行う環境にあります。

性能、機能、味、サービスで差別化する努力、
そしてマーケティング的な努力は必要です。

それに加えて、国際的な企業からパーソナル、スモール企業まで
ビジネスの根源的な差別化ポイント(背景、哲学、こだわり、人柄etc)を
訴えて顧客をファンにしていくべきなのです。

さらには、ファンを再生産するようにしていく。
そうすると“空也”のようなブランドになる可能性も開かれます。

この時代、ブランディングを行う必要性は増しこそすれ
まったく減る気配はありません。

 

 

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